たつの市議会議員選挙の選挙区割りと議員定数案

 先日、このサイトでもたつの市議会議員選挙は大選挙区制ではなく中選挙区制にするべきであると提案させていただき、また現在そのことを訴えるビラをポスティングしているところです。

 改めて大選挙区制には無い中選挙区制のメリットを上げると次のようになります。

① 大選挙区制では当選する人が地域代表とは限りませんが、中選挙区制では当選する人は必然的にその地域の代表となります。
② 大選挙区制ではあまり人気が無い候補者でも一部の業界団体の推薦を受ければと公卿数が低順位であっても当選し得票数が1位の人と同じ議席を獲得してしまいますが、中選挙区制ではその地域で比較的上位の人しか当選しないので特定の業界の代弁者は当選しにくくなります。
③ 大選挙区制では町内会が組織化されている地域における町内会推薦候補が有利ですが(そのため人口が比較的多い地域の声ほど町内会が弱いため却って反映されにくい逆転現象が起きている)、中選挙区制では各地域の人口に応じて議員数が決まるので町内会の組織力が弱い地域の声も反映されやすくなります。

④ 町内会の組織力が同等の地域同士の場合、大選挙区制では過疎地ほど不利になってしまいますが(特に議員定数削減が今ではなおのこと)、中選挙区制では少なくとも1人は議員定数が配分されるので、その地域の声が反映されないことはありえなくなります。

⑤ 市町村合併の結果としてたつの市は人口が7万5千人を超えており面積も増えていますが、大選挙区制ではたつの市全体が一つの選挙区であるため必然的に議員と有権者の関係は浅くならざるを得ない一方(議員も人間ですから広いたつの市全体を満遍なく回ることは不可能です)、中選挙区制では(②の関係もあり)議員・候補者がより地域に密着してその声を聴くことが期待できるようになります。

 以上の点を踏まえて具体的な選挙区の区割りを考えると、私は明治22年(西暦1889年、皇暦2549年)の町村制施行時の町村の区割りが妥当であると考えます。

 理由はこの時の区割りは概ね当時の民衆の結び付き等に基づいて決められた自然な区割りですし、また、その後の昭和の大合併や平成の大合併で各地域の特色が軽視された傾向がありますから、そうした諸合併が行われる前の区割りの方が各地域の声を反映させる上で適切であろうと思うからです。産土区域(いわゆる氏子区域)や小学校の校区も概ねこの時の区割りを基にしており、行政上の混乱も少ないと考えます。

 定数については一票の格差が比較的小さくなるアダムズ方式を用いることとしました。

 アダムズ方式とはある数を除数として各地域の人口を割りその商から小数点第一位を切り上げて定数とする、と言うものです。

 除数を3000で計算すると議員総数は33人で各選挙区の定数は次の通りとなりました。

西栗栖 1

東栗栖 1

香島 1

新宮 2

越部 1

神岡 2

龍野 2

小宅 5

誉田 2

揖保 2

平井 1

桑原 1

布施 1

半田 2

神部 3

河内 1

御津 4

室津 1

 この場合、いわゆる一票の格差は約2.4倍となります。

 もっとも、これは人口の格差が1000人を割っている室津地域に1議席を与えているからです。室津を除外すると一票の格差は約1.5倍となり、裁判所が違憲状態と判断しやすくなる2倍よりも低い数値に収まります。

 そもそも裁判所が地方議会の一票の格差に違憲判決を出したことが無いことや過疎地からも代表者を出すことの公益性を考えると、この程度の一票の格差はむしろ許容範囲であると考えるのが妥当でしょう。

 むしろ議員定数の合計が33議席に増えることの方が問題視されるかもしれません。次の市議選では議員定数が20議席に削減され、それと比べると13議席も増えるからです。

 しかし、議員定数が20議席になるとこれは市町村合併前の旧龍野市よりも少ない数です。人口も面積も増えているのに市町村合併前よりも定数が少ないのはどう考えても問題です。

 以上の理由で私はこの案にかなりの自信を抱いていますが、一票の格差については憲法解釈も絡んでくるので、一応一票の格差が2倍以内に収まる対案も紹介させていただきます。

 これはアダムズ方式で除数を1500とした案です。

西栗栖 2

東栗栖 2

香島 2

新宮 3

越部 2

神岡 4

龍野 3

小宅 10

誉田 3

揖保 3

平井 2

桑原 2

布施 2

半田 3

神部 5

河内 1

御津 7

室津 1

 これは議員定数の合計が57議席となりやや多すぎるきらいもありますが、個人的には議員定数の合計が多いこと自体は大きな問題でも無いと考えます。議員の歳費を節約するべきと言う考えの方もいますが、議員の方が地域のために働いてくださるのであれば、議員歳費をケチるのはむしろ失礼なことです。

 とは言え、議員不信の世論もある今では前述の33議席案の方が世論の理解を得られやすいでしょう。

 この57議席案の利点は一票の格差が約1.7倍でつまり2倍以内に収まっていることにあります。室津地域を除外すると約1.4倍にまで押さえられています。

 33議席案のメリットは、①議員定数が極端に増えるわけでは無いので住民の理解を得られやすい(市町村合併を考慮すると旧龍野市議会の定数よりもある程度増えるのは許容範囲内)、②各地域で上位の候補者しか当選しないのでより地域に密着した議員が誕生しやすい、ということにあり、57議席案のメリットは、①一票の格差が小さいためより多くの地域の声を満遍なく反映できる、②議員定数が多い分死票が少なくなる、ということにある、とも言えるでしょう。

 現時点では33議席案が妥当だと思いますが、私はそれに拘るわけでは無く、選挙区の区割りは市議会の条例で決めるので、条例で33議席案と57議席案のどちらが良いかを問う住民投票を行うのも一つの手かもしれません。

 このように様々な案を市民が検討してこそ、地方議会の改革も進むと考えます。

日野智貴オフィシャルサイト

日野智貴の公式サイトです。立憲民主党党員、国民民主党サポーター。

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